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台風18号の被害を機に「治水政策」を考える - 2013.09.27 Fri

 9月16日、滋賀県を中心に関西地方全体に台風18号の被害が及んだ。まずは命を犠牲にされた方や被害に遇われた方々に対して心からのお悔やみ、お見舞いを申し上げたい。また私自身政治の中に身を置く者として、一刻も早い復興・復旧、今後の防災・減災に向けて可能な限り動いていこうと思う。そしてそれと同時に、是非この機会に「公共事業」、中でも「治水政策」について考えてみたい。

 近年の「治水政策」は、実に「公共事業悪玉論」を背景に、2001年2月に田中康夫元長野県知事によって提唱された「脱ダム宣言」や、現在嘉田由紀子滋賀県知事によって提唱されている「流域治水」政策などによって様々な混乱を見ているように思う。「脱ダム宣言」とはダム建設を「利権の巣窟」として槍玉に挙げ、全て中止しようというスローガンであり、「流域治水」とは水を川に閉じ込めるのではなく、洪水を前提とし流域全体で遊水地を活用したり建物の嵩上(かさあげ)を行ったりして、基本的に越水も認め、ダムに頼らないで洪水に耐えようとする政策である。

 確かに、田中元知事や嘉田知事、あるいは熊本県川辺川ダム建設に反対した蒲島郁夫知事が示したダム建設に対する問題提起は、治水政策を考える上で重要な参考になるポイントは数多く含んでいる。まず第一に、ダムは建設コストが高く、利権構造につながりやすい。次に、財政的・技術的制約を受ける今の状況ではダム建設が完了するまで時間がかかり、それまでの間の災害に対応できない。三つ目に、どんなに大きな災害に備えても、必ず人知を超えた大災害が発生し、備えた治水能力を超えた「超過洪水」を引き起こす可能性がある。四つ目、ダム建設は上流域にある村や森林を破壊するため、環境破壊につながる。そして五つ目に、ダム建設は上流で生活する人々を移転させるため、そうした水没地区住民に対する社会的配慮が必要だという考えが出てきたことだ。

 しかしながら、これらの論点はダム建設と必ずしも相反するものではない。一つ目、利権構造の問題は、ダムに限ったことではないが、ダム自体が悪なのではなく、ダム建設をめぐる「利権」そのものが悪であり、本来はダムを否定するのではなく、利権構造自体を無くしていく努力を行わなければならない。次に「財政的・技術的制約」や「超過洪水」の問題に関しても、ダムそのものを否定している訳ではない。これは対応するダム建設に時間がかかるため、その間の治水をどうするかという問題で、これこそ「流域治水」という考え方を活用してダムが完成するまで洪水に耐えうる政策が必要だと思う。それから最後に「環境」と「自治」の問題について、これはあくまでも話し合いを重ねて、ダム建設が良いのかそれともダムに頼らない治水が良いのかを、様々な角度から検証し、あくまでも最後は河川管理者が選択していく必要があるのではないだろうか。

 また現実論として、「脱ダム」や「流域治水」という考え方が実際これまで治水政策として不十分であることが証明されてきている。現に、今回の台風18号によってもたらされた滋賀県大戸川の氾濫や瀬田川洗堰全閉の問題(詳細は後述)は、「流域治水」という政策を掲げてきた嘉田知事によって凍結された大戸川ダムが建設されていれば緩和された可能性が十分にある。皮肉なことに、3選を目指した田中康夫長野県知事が落選したのも、2006年7月長野県中部地域を中心に襲った記録的な集中豪雨で諏訪湖・天竜川流域で死者が出る大災害が発生し、有権者の信頼を失ったことが大きな原因の一つと言われている。

 いずれにせよ私がここで結論として言いたいのは、治水は河川によって様々な事情があり、「脱ダム宣言」や「流域治水」のようにダムを否定し、治水政策を一括りにして策定することは困難だということである。

 それぞれの河川の事情が異なるということについて、具体的な例を一つ挙げたい。滋賀県にある琵琶湖は、流入河川が約120本もあるのに対して、流出河川は瀬田川のみである。この瀬田川は京都では宇治川となり、大阪の淀川と合流し大阪湾に注いでいる。たびたび氾濫を起こしてきたこの越境する大河は、これまで歴史的に上下流の対立を生んできた。なぜならばこの瀬田川やそこに注ぐ河川を溢れないように整備すると、下流の水量が増加し、今度は宇治川流域や淀川流域で洪水を引き起こしてしまうからだ。そこでこれまでは人口の少ない滋賀県が瀬田川を全閉したり、瀬田川に注ぐ川の河川整備を行わ無かったりして、いわば犠牲になって京都や大阪の住民を守ってきた。今回洪水を引き起こした大戸川もそうした瀬田川に注ぐ滋賀県の河川の一つであった。

 しかしいつまでも大阪・京都のために滋賀が犠牲にされる状態を続けるわけにはいかない。そこで大阪・京都・滋賀でこの問題をどうするか話し合い、「上流にダムを」という構想が持ち上がってきたのである。上流にダムができれば上下流の対立は回避され、滋賀県としても、国・大阪・京都の予算で大戸川の治水ができ、なおかつ瀬田川洗堰全閉を抑制できるため、この大戸川ダム建設は必要不可欠な計画であった。更に言えば「水源地域対策特別措置法」によって、ダムを建設する地域はいわば「迷惑料」として周辺整備のための予算も付く。時には「飴玉」と呼ばれる予算だが、大戸川ダム建設計画のある周辺では生活道路である大津-信楽線の整備や下水道整備にこの予算が充てられる予定だった。にもかかわらず、嘉田知事の誕生によって「もったいない」ものの象徴として建設が凍結されてしまったのは承知の通りだ。

 瀬田川を含む流域の水系を行政では「淀川水系」と呼んでいる。そしてこの淀川水系は二府四県にも及び、各府県の間で利害対立を生むため、この利害調整は国が行っている。つまり当該水系の管理者は国であり、この河川整備計画は国において閣議決定を要し、策定される。そしてその最上位計画が平成19年に策定された「淀川水系河川整備基本方針」と呼ばれるものである。この中で淀川水系がどの程度の洪水に備えるか、「基本高水」の設定について最大「200年に一度の大雨」(昭和14年の大雨)としている(嘉田知事もこの基本高水には同意している)。しかし、この計画でさえ、財政的・技術的制約から、明治29年の洪水を計画の中に取り込まず「超過洪水」として位置づけている。そしてこの基本方針のレベルを本当に実現しようとすれば、大戸川ダムのみならず多くのダム建設が必要となることは理解できると思う。

 ダムは上流部山奥にあるため都会の人の関心は薄い。まして水系全体の治水対策が長い年月をかけ議論され、国において策定されていることも一般的に知られているとは言い難いだろう。そういう中で、「公共事業悪玉論」を背景に、ダムは利権の巣窟であり、予算の無駄遣いの象徴であるかのように訴え、政治が混乱を巻き起こしているのが今の状況だと私は考えている。もちろん先に挙げたように利権構造の問題など、現在の治水政策には様々な課題がある。しかしながら、少なくとも私たち政治家は、しっかりとした根拠に基づいた治水政策を、世論や人気取りに左右されず、本当の意味で国民の安全と安心のために策定していかなければならないと思う。


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プロフィール

武藤貴也(むとうたかや)

Author:武藤貴也(むとうたかや)
昭和54年5月25日、北海道釧路市生まれ。血液型O型。東京外国語大学卒業、京都大学大学院修了(専門は外交・安全保障・国際法)。平成21年「全国公募」で自民党滋賀県第四選挙区支部長に選ばれ、平成24年第46回衆議院議員総選挙で初当選。外務委員会・安全保障委員会所属。麻生派(為公会)。近江八幡市在住。

*滋賀県第四選挙区(東近江市、近江八幡市、甲賀市、湖南市、日野町、竜王町)

国会事務所:
東京都千代田区永田町2-2-1
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