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2013-03

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「三権分立」と「統治行為論」 ~「一票の格差問題」を機に考える~ - 2013.03.27 Wed

 いわゆる「一票の格差」をめぐり議論が盛んになっている。きっかけとなったのは3月25日に言い渡された広島高裁の判決である。広島高裁は、「一票の格差」が2,43倍となった昨年12月の衆院選について「違憲で無効」とする判決を言い渡した。1962年以来、弁護士グループが「法の下の平等を定めた憲法に違反する」とし、定期的に「選挙の無効・やり直し」を求めてきたが、「無効判決」が出されたのは今回が全国で初めてである。

 さて、少し視点は変わるが、先日次のような見解を耳にした。「裁判所はこれまで、自衛隊に違憲判決を出せず、『統治行為論』だと言って判断から逃げた。だから日本国民は自衛隊の存在についてしっかり考えてこなかった。早くに『違憲判決』を出しておけば、今日抱えているような問題にはならなかっただろう」。確かに裁判所が「自衛隊は違憲」だという判決を下していれば、もっと早くに憲法が改正できていたかも知れないし、もちろん「自主防衛」の議論も発展を見ただろう。そういう意味で言えば、確かに憲法改正が出来なかったのは国会だけの問題ではない。

 ところで、ここで言及したいのは「統治行為論」とは何か、という点である。「統治行為論」とは、「国家統治の基本に関する高度な政治性を有する国家の行為については、法律上の争訟として裁判所による法律判断が可能であっても、高度の政治性を有するがゆえに司法審査の対象から除外すべきとする理論」のことをいう。こうした理論の背景には「三権分立の原則や国民主権原理の観点から、民主的基盤が弱く政治的に中立であるべき裁判所にはその性質上扱えない問題が存在するという考え方(内在的制約説)」と「法政策的観点から裁判所が違憲・違法と判断することにより生ずる政治的混乱を回避するため自制すべき問題があるという考え方(自制説)」がある。

 ここで「一票の格差問題」に話を戻したい。自衛隊の合憲性や日米安全保障条約の合憲性について、「統治行為論」という論理を用いて判断から逃げた裁判所が今回、先の衆院選は「違憲であり無効だ」という判断を下した。はっきり言ってこの判決により生ずる政治的混乱は非常に大きい。しかも判決は選挙について「違憲であり無効」と言いつつ、選挙のやり直しや選挙制度改革については全く言及していない。ある人は「解決策を明示せず無効判決を下すのは極めて無責任だ」と裁判所を批判していた。一方で私が思うのは、裁判所が選挙の違憲・無効を判断することや、選挙制度の改革を求めるのは、まさに司法の「統治行為への介入」ではないかということである。

 更に私はそもそも「一票の格差問題」には、より深い議論が必要だと考えている。まず現在、議員定数の削減と一票の格差の議論をすべて「人口割」の視点のみで行っているが、「人口割」のみを原則として話を詰めていくと都市ばかりに議員が集中し、地方の議員は激減してしまう。例えば、選挙区は都道府県とし、有権者数比で480議席を全部割り振ると、東京は47議席にもなるが、鳥取県は2議席。確かに一票の格差は1.26倍まで縮小するが、これでは東京をはじめとした大都市圏の課題ばかりが国会で議論されることになりかねない。また今の小選挙区300議席を、格差是正を目的として割り振ると、鳥取は1議席、東京は29議席、格差は1.68倍となる。従って、国会内には選挙区を「人口割」ではなく、「面積割」で考えるべきだとする意見も根強い。

 また、議員定数を都道府県選挙区のまま最小限まで減らしたいとなると、最少で108議席。それ以下だと鳥取が0議席になってしまうからだ。108議席だと、鳥取、島根、福井、高知、徳島、佐賀、山梨、香川、和歌山、富山、宮崎、石川、沖縄、秋田、大分、山形、滋賀、岩手、奈良、青森、長崎、愛媛、山口、鹿児島が1議席。東京は10議席。これまた大都市だけが議席数が多くなる一方で、更に格差は2.88倍となってしまう。つまり都道府県選挙のまま議員定数を極限まで減らすと格差が大きくなってしまうのである。理由は、1.5議席とは割当られないので、四捨五入して1.4議席は1議席に、1.5議席は2議席とカウントせざるを得ないからだ。

 つまり「一票の格差是正」のみを目的として選挙制度改革を行うのであれば、全て「全国区」にするしかない。しかし、もともと都道府県単位で選挙制度を導入したのは「政治的にまとまりのある単位を構成する住民の意思を集約的に反映させることにより地方自治の本旨にかなうようにしていこうとする」目的があったからであり、「全国区」はこの目的に反することになってしまう。だからこそ以前、格差是正のために鳥取県と島根県の選挙区を合区する意見が出されたとき、最高裁判事5名が否定的な意見を出した。

 一方、「全国区」は極端で地域性が無くなるという理由から、現在の「比例区」のみに480議席を有権者数で割り振ると、最少は四国の16議席、最大は近畿の78議席。確かに格差は1.03倍と非常に小さくなる。また、現在の比例180議席を割り振っても格差は1.05倍と非常に小さい。つまり、現在国会では、比例復活の議員を「ゾンビ議員」などと呼び、「小選挙区で敗れているのに復活するから民意を得ていると言えない」として「比例定数」の削減ばかり議論しているが、比例定数の削減案は、「格差是正」ではなく「格差拡大」につながるという逆の結果をもたらす。

 また別の視点だが、各選挙区の有権者数を揃えても選挙区ごとに投票率が異なり、総投票数に差が出るため、投票率の高い選挙区の一票の価値は小さくなり、投票率の低い選挙区の一票の価値は大きくなるという、投票率による一票の格差の問題もある。この問題を解決するには、投票を「義務」とするかどうかなどの別の大きな議論が必要となる。

 以上のことを考えると、都道府県単位の選挙制度では「格差問題」は完全に是正されることはないし、比例区だけの選挙制度にすると今度は地域性がなくなってしまうという地方自治上の問題点が生じる。

 また、そもそも「一票の格差」が「2倍を超えると違憲ないし違憲状態」としている学説が多いが、この数字の根拠も明確では無く、憲法学会でも意見が分かれている。調べてみると、衆議院の最大格差については「1対2未満」とすることがほぼ通説となっている一方で、「1対1」を基本原則とすることを主張する学説も見られる。また参議院については、真にやむを得ない合理的な理由の存する場合に限り「1対2」よりも若干の緩和が認められるという学説が有力であるが、これも「1対1」を原則とする主張や、逆にある程度の格差を許容する学説も見られる。つまり学説上も格差許容の程度にばらつきがあり、どの程度是正されるべきか定まっていないのが現状である。

 以上、様々な問題点や私の考えを書いてきたが、最後にもう一つ大きな問題点を指摘したい。そもそも今回の高裁判決は「三権分立」の精神に反するのではないかという点である。確かに裁判所つまり司法の判断は意見としてしっかり受け止めなければならないが、特にこの問題のように政治や民主主義の根幹にかかわる問題については、まさしく「統治行為論」であって、まして「三権分立」という司法・立法・行政が対等であるべき国家制度になっている以上、司法の判断が「金科玉条」のごとく主張されるのはおかしく、司法が立法・行政を縛るものではない。

 今後この「一票の格差問題」について様々な議論が行われていくと思うが、「立法府」つまり国会は国会としての見解をきちんと示すべきだし、場合によっては、三権分立の観点から、司法に対して「統治行為に介入すべきではない」という国会決議を出すべきではないかと考える。

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プロフィール

武藤貴也(むとうたかや)

Author:武藤貴也(むとうたかや)
昭和54年5月25日、北海道釧路市生まれ。血液型O型。東京外国語大学卒業、京都大学大学院修了(専門は外交・安全保障・国際法)。平成21年「全国公募」で自民党滋賀県第四選挙区支部長に選ばれ、平成24年第46回衆議院議員総選挙で初当選。外務委員会・安全保障委員会所属。麻生派(為公会)。近江八幡市在住。

*滋賀県第四選挙区(東近江市、近江八幡市、甲賀市、湖南市、日野町、竜王町)

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